先生・お世話人の方へ

「ミニ田んぼビオトープ」は岩澤先生が考案した学校教材です。発泡スチロール箱の中に生命循環が起こる不耕起の田んぼを再現します。
本物の不耕起の田んぼが「本校」、学校で作る「ミニ田んぼビオトープ」は不耕起栽培水田の分校です。
さあ、みなさんの学校ではどんな分校ができるでしょうか?
分校ひとつずつに学校名をつけましょう。
田んぼの中に生まれてくる生きものたちは分校の生徒たちです。
メダカを入れると一番の生徒になります。
子どもたちはどんな校長先生になって、ミニ田んぼの分校の生徒のお世話をするでしょうか?


先生・お世話人の方へ学校、幼稚園・保育園、地域活動をしている環境団体に限り、実費でお分けしています。
※個人・企業のお申し込みはお受けできませんのでご了承ください。


また、メダカに関しての「追録」もあわせてご確認下さい。

このコーナーは田んぼ博士の応援隊から申し込みされたみなさまと共に、ミニ田んぼビオトープ教材配布の代金で運営されています。
  • ミニ田んぼビオトープ教材の配布代金で次のような活動費に当てています。
    • ミニ田んぼビオトープを作った学校のみなさんから岩澤先生、本校に来た不耕起栽培やイネ、お米、ミニ田んぼなどについての質問のお答えなどをまとめて郵送する費用に当てています。
    • ミニ田んぼビオトープについてのご質問や相談に電話でお答えしています。先生、お子様からどちらからでもお受けしています。相談があったことなどをまとめてQ&Aとして印刷したりお送りする費用に当てています。
    • 本校イベントのご案内などを印刷する費用やお送りする費用に当てています。
    • 学校からの田んぼ見学会や出前講座の準備や資料作成費用に当てています。
    • 田植えや稲刈りなどの体験学習・イベント受け入れの道具をそろえる費用や準備費用に当てています。

田んぼ博士の応援隊以外で同様のものを入手されている場合は入手先にて対応してもらってください。


  • 発泡スチロール箱(サイズ内寸:タテ30×ヨコ50×深20cm以上)
    魚屋さんやスーパーで不要な物をもらいリサイクルで使います。小さすぎると生命循環がうまくいきません。大きすぎる分には問題はありませんが、移動はしづらくなります。
    発泡スチロール箱に土や水を入れた後は、重みで強度がありませんから、移動すると壊れる心配があります。子ども達には発泡スチロールの特徴や性質を教えてあげましょう。その後は子どもたちに考えてもらいます。
    金属の容器や水が少ししか入らない容器、厚みの無いプラスチックなどでは水温が上がりすぎてミニ田んぼで生きものが生きられません。
  • 土およそ15リットル(畑、川岸、山林などの土。土が無ければ、園芸資材店で肥料などが混ざっていない荒木田などの土を選びましょう。肥料分の多い土を使うと、水が腐ります。生ごみ堆肥は使わないほうがいいようです。土の大半が水に浮いてしまうことがあります。ミミズコンポストの土は肥料として使えます)
  • コメのとぎ汁  
    各家庭からペットボトルに入れて持ってきてもらいましょう。どうしてこれが必要なのかを子どもたちに考えてもらいましょう。


  • 不耕起栽培の稲の古株1株(長いものは上を切り落とします)
    耕さないことが不耕起栽培の田んぼの最大の特徴です。ですから、田植え前の田んぼには、去年の古株が残っています。広い田んぼを見ると、ワラだか枯れ草だか分からない、まるで草ぼうぼうのようです。
  • 田土 約300g
    (この中に田んぼの生きもの達が休眠して混ざっています)
  • わら 若干
    (届いたらはさみで3cmほどに細かく切っておきましょう)
    こどもたち中から「わら切り準備隊」を募ってやってもらいましょう。
  • 不耕起栽培用の稲の苗 4〜6本程度
    稲の苗は、届いたら根の上1〜2cm程度に水を張った広めの容器に入れ、日の当るところに置きましょう。水は深すぎても浅すぎてもよくありません。田植えまで7〜10日ほど間をおいたほうがいいのですが、無理な場合はミニ田んぼ作りの後で田植えをします。
    不耕起栽培の特徴は苗にあります。成苗と言って、葉が5枚まで育った太くて根のしっかりした大人の苗を使うのです。
  • くず大豆または粒状の米ぬか
    時々コメのとぎ汁やくず大豆(または粒状の米ぬか)を入れることで、水を汚さない程度の肥料成分だけで過剰な肥料を与えずにイネを育てます。
    肥料の入れすぎは、水が腐ったり失敗する原因になります。
    常に、入れすぎはよくないこと、入れすぎたら取り出せないことを意識しましょう。
    足りなければ、あとから追加で肥料をやれますし、日当たりがよければ、植物は自分で体を作る栄養を光合成で作り出します。

くず大豆

粒状の米ぬか
イネの苗の観察をしましょう。
    • 葉は何枚ありますか?
    • 茎の太さはどれぐらいありますか?
    • 背の高さはどうですか?
    • 根っこの長さや太さはどうですか?
    • ほかの稲の苗と比べてみましょう。


5月 分校づくり
  1. 米のとぎ汁100ccを用意しておきます。ペットボトルに入れておくと便利です。
  2. バケツに水道水を汲み置きして、ひなたに出しておきます。天気がよければ30分〜1時間で塩素が抜けます。
  3. 発泡スチロール箱に土を入れます。中央に古株を植えて、土を上から押して固めます。土の厚みが8cm以上になるようにして、できる限り堅く押し固めてください。「固い土」が自然耕の最大の特徴です。
  4. 田土を細かくして表土にばら撒きます。
  5. 細かく刻んだワラを振りまきます。
  6. 米のとぎ汁と水を入れます。入れすぎは禁物です。汲み置きの水は土から5cmの水深になるように入れてください。
  7. できあがった分校を10日以上、日の当るところに置いておきます。田植えの時に水温が15℃以上になっていると、苗が元気に根付きはじめます。水深5cmを保ちましょう。稲を育てるためには十分な日照が必要です。

分校づくりの前に

発泡スチロールの上部に直径1cm程度の小さな穴をあけてガーゼや脱脂綿を詰めておくと、台風や大雨の時に水があふれることがありません。各分校で工夫してみましょう。
置き場所を決めてください。できるだけ日当たりが良いこと。水を運びやすいこと。特に夏の水の減り方は激しいので、水がすぐに入れられる場所を考え、水をポリタンクなどで用意して置けるようにしましょう。
校庭などでは、ボールが当たったり、いたずらをされたりしないように、置き場所に注意しましょう。

7〜
10日後
田植え
  1. 根を持って株を分けます。苗は、古株の両側2ヶ所に植えます。
    1ヶ所には1本植え、もう1ヶ所は2本から3本をまとめて植えます。ひとつのミニ田んぼビオトープにあまりたくさんの苗を植えないほうがいいようです。
  2. 堅い棒で土に穴をあけます。深さは3cmです。これ以上深いとうまく稲が育ちません。作ったばかりのミニ田んぼでは、比較的土が柔らかいので堅い棒がなくても植えられることが多いようです。
  3. 穴に苗の根を入れ、穴のまわりの土を根の周りに寄せてつまみ込みます。土で、根本をしっかりと固めてください。苗が、水中に浮き上がらないように固めます。子どもたちがしっかり固めて植えることができているかどうか、先生が確認してください。しっかり植えられていないと後で浮き苗になっていることがあります。

田植えの前に

 学校の授業の時間割ふりの上では、どうしてもミニ田んぼビオトープ作りと田植えとをいっしょに行うことが多くなります。田んぼの土が肥料分の少ない堅いしっかりした土なら大丈夫です。
初めてミニ田んぼを作るときに土の選び方や状態が悪かったり、水に浮きやすい軽い土だったりすると、苗がしっかり植わらず浮いてしまう、水が腐る、イネの根が根腐れを起して枯れるなどの問題がおこることがあります。
2年目以降のミニ田んぼでは前年の古株の間に田植えをします。翌年、翌々年も同じミニ田んぼビオトープに田植えをすることを考えて、苗を植える場所を決めましょう。

3〜
5日後
苗の活着

苗が元気かどうかよく観察しましょう。新しい根が出て、いよいよ生長をはじめます。

葉が黄色くなっていたり、元気がなかったり、傾いている、葉が水面に張り付いたようになっているなど、注意して観察しましょう。苗が水没している場合は水の入れすぎです。

7〜
10日後
水の管理と肥料

 苗が活着したら、肥料を与えます。くず大豆少量を苗の周りに撒きます。全部は撒かずに、後のためにとっておいてください。米のとぎ汁100ccくらいを7〜10日間隔で与えます。これも有機質肥料となります。化学肥料は基本的には入れないで育てましょう。
 水を加えて水深を調整します。常にいちばん上の葉の付け根のすぐ下まで水が入っている状態にします。水深が10cm以下にならないように管理しましょう。
 このころ既に生命循環がはじまっているかもしれません。水の中に小さな生命が生まれているかどうかよく観察してみましょう。

 多くの不耕起の田んぼでは、生命循環が生まれるようにするために、できる限り化学物質を与えないで稲を育てます。化学肥料や農薬は、生命循環のバランスを崩し、たくさん使えば害になります。

 不耕起栽培でも化学肥料で育てている人もいます。
また、全部が無農薬・無化学肥料栽培ではなく、食べてくれる消費者のニーズに合わせて、無農薬や減農薬、減化学肥料栽培など栽培方法を田んぼによって分けています。

イネとミニ田んぼの中の観察をしましょう

稲の苗の観察をしましょう。

    • 葉は何枚ありますか?
    • 水の中に何かいますか?のぞいてみましょう。
    • 植物が生えてきませんか?

この頃は蚊の発生する季節です。子どもたちが刺されないように注意してください。ボウフラもまた面白い生きものです。観察してみてください。
どうして水溜りにはボウフラが湧くのでしょうか?本当の田んぼではどうでしょか?
水質が落ち着いているようでしたら、学校で飼っている生きものを一時的に入れても大丈夫です。蚊の抑制になります。

ハト、カラスの対策
発泡スチロール箱のふちに止まって水を飲みますが、箱のふちがぼろぼろになってしまいます。また、いたずらをすることもあります。ハトやカラスが多いところでは対策を取りましょう。
どんな方法が良いか子どもたちに投げかけてアイディアを募集してみてください。

6月下旬

7月
メダカを放流する場合

 地域のメダカを譲り受ける場合、本校の田んぼからメダカが転校してくる場合、学校で飼っているメダカを入れる場合いろいろあっていいと思います。そのメダカの由来や全国の学校などで行われているメダカの保護活動のことを話し合って見ましょう。

  1. メダカを水槽などに入れ、オスとメスを選んで網ですくいます。
  2. 1つのミニ田んぼビオトープに3匹くらい入れてください。

メダカの観察
 メダカを観察してみましょう。オスとメスの違い、メダカの住んでいるところ、メダカの食べ物、メダカの特徴などの調べ学習をしてみましょう。本校農家の多くではこの時期サヤミドロという藻が田んぼに生えます。この藻についても、どんな特徴があるのか調べてみましょう。

注意

 メダカはむやみに触ったりすると傷ついてしまいます。怪我をしたり病気にならないように気をつけて扱いましょう。数が少ない地域のメダカや出身地が明らかなメダカは、ほかのメダカやヒメダカと絶対に同じミニ田んぼビオトープや水槽の中で混ぜて飼わないでください。
 住み心地が悪いとメダカが飛び跳ねてミニ田んぼビオトープから出てしまうことがあります。また、隣のミニ田んぼへ飛び移ることもあります。

稲の生長記録をつくりましょう。
    • 1本の茎に葉は何枚ありますか?
    • 背丈はどれぐらいになりましたか?
    • 茎の数は何本になりましたか?
    • 水の中に何かいますか? 顕微鏡で水滴を見てみましょう。
    • どんな植物が生えていますか?
    • 水面の温度を測ってみましょう。
    • 土の中の温度を測って見ましょう。

イネは1本の茎に対して常に葉が5枚です。1枚新しい葉が出ると、一番下の葉が1枚枯れてきます。子どもたちはこれに気がつくでしょうか?
1枚葉が出た時に1枚枯れるために、この枯葉を食べる生きものがいたり、分解する生きものがいたり、イネ自身の将来の栄養になったりして、田んぼの中には常に生命循環があります。

7月〜 生命循環のはじまり

 さまざまな生きものがわいてくる様子を観察しましょう。水深は10cmを保ってください。米のとぎ汁も10日に1度忘れずに与えてください。水は汲み置きした水を加えましょう。少量のくず大豆を撒いてもいいです。
生命循環が始まっても、1年目のミニ田んぼビオトープは自然が貧弱で栄養は不足気味です。しかし、人の手をあまり加えることなく、できるだけ自然にまかせて観察してみましょう。

夏から秋にかけて穂のでき方や花の咲き方を観察してみましょう。
夏休み 水管理

 水が無くなったら、ミニ田んぼビオトープの中の生きものも、イネもみんな死んでしまいます。命を預かる責任感を育てましょう。また、ミニ田んぼビオトープを枯らしてしまうと、子どもたちも大変がっかりしますしショックを受けます。水が枯れないように十分注意しましょう。逆に台風の時には、雨で水があふれてしまうことがあります。中の生きものが流れ出ないように対策を事前に考えておきましょう。

注意

 夏休み中の水管理のお当番決めましょう。プールの日や登校日には子どもたちにやってもらいます。それ以外は、先生方が定期的に面倒を見る体制をとりましょう。
外部の人にいたずらをされないようにしましょう。

7月

8月
田んぼの見学会

 本物の不耕起の田んぼへ行って見ましょう。本校農家では見学会を開いているところもあります。不耕起の田んぼがなくても、いろんな田んぼを見に行きましょう。夏休みには、家族でちょっと足を伸ばして子どもたちに本当の田んぼを見てもらうように、ご家族に機会を持ってもらいましょう。農家の人にお話を聞く機会をつくりましょう。本校の校長先生(農家の方)にいろいろな事を質問しましょう。お手紙を書きましょう。

 本校の見学会の予定はHP上でお知らせいたします。突然、農家の人を尋ねて作業の手を止めさせたり、無断で田んぼに入ったり、生きものを採って持ち帰るのはやめましょう。

7月下旬

9月
出穂

イネから穂が出ます。花が咲きます。ミニ田んぼビオトープではあまり栄養を与えていないので、化学肥料で育てたイネのようにたくさん茎が増えたり、穂がたくさんついたりしない場合もあります。

スズメ対策

せっかく穂ができたのにいつの間にか白っぽくなっていることがあります。じつは、花が咲いた後、穂の中には移入ができてくる途中のミルクのような状態のうちにスズメが見つけて食べてしまうのです。
花が咲き終わったら、スズメ対策を取りましょう。

9月

10月
稲刈り

 稲が稔り、中に身が入っているかどうか観察しましょう。ミニ田んぼビオトープの稲は、稲が稔っても茎や葉が青いままです。
普通の田んぼでは田んぼを早くから乾かしてしまうので、イネが枯れてきて全体が黄金色になります。不耕起栽培の田んぼでは穂だけが色づき茎や葉が青いまま稲刈りをします。
時期を見極めて稲刈りをしてください。穂だけを刈り取る稲刈りです。刈り取った稲穂を観察しましょう。稲穂は束ねてつるし、乾燥させます。この時もスズメ対策を考えましょう。

1年目のミニ田んぼビオトープは栄養が十分ではありませんので、大豊作はあまり期待できません。化学肥料で育てた稲と少し違います。
ミニ田んぼビオトープでは水を張ったままでも稲刈りができます。本校の不耕起の田んぼでは稲刈りの時だけ水を抜いて、稲刈り後にまたすぐ水を張る冬期湛水という方法をとっているところもあります。 
学校単位で取り組んだ場合は、収穫した稲を本校農家(校長先生)のところへ送りましょう。白米精米して送り返してくれます。

11月 収穫祭

 本校から精米したお米が届いたら収穫祭をしましょう。本校では沢山お米が収穫されていますので、お米を注文してみんなで食べてみてください。
本校の農家の方に手紙を書いて頂けると励みになります。

12月 冬期湛水の田んぼ

冬の間、メダカは活動が鈍くなり、水の底でじっとしていることが多くなります。深い水槽や、池、プールに集めて冬ごしさせましょう。 
メダカを集めることで、翌年の近親交配を防ぎます。
冬のミニ田んぼビオトープも小さな生きもの達の冬越しの場になっています。ヤゴなどがじっとしていることもあります。



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