今日の関心ごと(記事12件/10444人) - 一覧表示 - カレンダ表示 - ワード検索

今日の関心ごと
  ネオニコチノイド
2009/01/07(Wed)

沈黙の夏
 この言葉は、レイチェルカーソンの「沈黙の春」から導き出した言葉と思うが、この本の表紙に載っている。その本の題名は「悪魔の新・農薬ネオニコチノイド」ミツバチが消えた「沈黙の夏」。著者は船瀬俊介、出版社は三五館である。価格は1400円+税である。
 ネオニコチノイドという物質はネオ=新しい、ニコチ=ニコチン、ノイド=様物質でタバコのニコチンと同じ構造を持つ仲間である。殺虫剤の有機リン製剤が多く使われ耐性を持った昆虫類が増え、新しい形として登場したのがこのネオニコチノイドである。船瀬氏の表現に拠ると今までの殺虫剤は手榴弾に例えると、ネオニコチノイドは原爆並みだと言う。この本を読むと夜寝られなくなる。相当煽った言い方であるが満更嘘ではない。
 最近の情報として米国のミツバチの大量死がマスコミで報道された。日本でも九州や東北ではこの現象が発生し、何れも原因不明と言う事になっている。何しろミツバチが帰巣して巣箱の中で死ぬのではなく、一箱そっくり居なくなるのだ。一箱毎移動するのではなく蜜の採集に出たまま帰らないのだ。米国では40%の巣箱が全滅し更に範囲を広げているようだ。ミツバチによる交配で種の存続を維持している植物は多い。この植物群は今後、種の存続が出来ない事になる。自然の生態系が一瞬の内に破壊されてしまうのだ。被害は植物だけではない。生態系の一員である動物にも被害は続出する。最終的には人類も生態系の頂点であるから被害は出る。従ってこの被害はミツバチだけの問題ではない。昆虫類は全てに影響し土壌生物や微生物に至る広範囲に影響が出ている様だ。皆さんは気が付いていたかどうかは知らないが、今年の秋の水田は赤とんぼの飛来が極端に少ない。孵化して彼らは涼しい山奥に餌場を求め、産卵の時期になると集団で大移動して水田を目指す。今年の水田は赤とんぼが帰って来ないのだ。生物調査をするとイトミミズの数が例年より少ない。知らぬ間に私達の水田にも被害の波が押し寄せているのかも知れない。
 ネオニコチノイドの毒性は神経毒であらゆる生物に何ppmではなく、ppmの1000分の1の何ppb単位で作用する。脂溶性ではなく水溶性である為植物は水と一緒に吸収してしまう。一般の水和剤などはドリフトの範囲が100m四方で風があっても500mの範囲であるが、ネオニコチノイドは馬鹿苗病の菌糸と同じく4km四方と範囲が大きい。これだけの拡散範囲は使用地が点でも忽ち面になる可能性が強い。いま中国発の食品に農薬が含まれ世情の大きな話題になっている。日本でのネオニコチノイドの使用量は中国の100倍、原爆並みの物が100倍なのである。私達の馴染みの農薬アドマイヤーの製剤は、カメムシやウンカの特効薬として稲作に使用されている。その量たるや膨大なものである。使用範囲は広く野菜やペットのノミ退治やシロアリ退治にまで使われている。市販の野菜の20%にはネオニコチノイドが含有している。それを毎日食していると思うとぞっとする。
 農業大国フランスでは、最高裁判所がミツバチ消滅の犯人はネオニコチノイドであると判決をくだした。フランス政府が疑わしきは罰せずの態度で、処置をしなかったのが農民団体との軋轢で提訴。この日本でも司法に訴えなければ早急には解決しないかも知れない。私達の何も使わないイネつくりの主役は生きもの達である。この生きもの達が消滅したのでは農法は成り立たない。由々しき一大事が発生しているのかも知れない。特に主役であるイトミミズは2〜4ppmで半数が死滅し、0.2〜0.5ppmで精子奇形やDNA損傷が起きる。不耕起移植栽培の救世主がカメムシ退治の薬で全滅したのでは話にならない。我々の売りは何も使わない農法、無肥料・無農薬である。この方程式が崩れてしまうのである。ネオニコチノイドの拡散が広いのは、水溶性で水蒸気となって拡散するからである。4kmも移動しては今後有機栽培も安全栽培も無になる。この情報は奥行きの大きい話である。今後数ヶ月に渉って会報の中の情報として掘り下げて行きたいと思っている。皆さんも勉強して戴きたい。
2009年1月11日の玉川大学ミツバチ科学研究センターの学会に参加しその実態を真摯に受け止めるるべく、研究会に参加したい。http://www.tamagawa.ac.jp/sisetu/gakujutu/honey/contents/pages/hss/31hss/31program.htm


岩澤信夫


最初から読む]   [最後から読む] 
最近の「今日の関心ごと」
'07/12/01(土) 不耕起移植栽培による環境保全型農業の全容
'07/11/01(木) 排出権
'07/07/27(金) 8月の会報より
'06/07/27(木) 日本一安全で日本一美味しい米つくりへの案内

過去の「今日の関心ごと」
2004年03月 2004年04月 2004年06月 2004年10月
2005年07月 2005年08月 2006年07月 2007年07月
2007年11月 2007年12月 2009年01月


- 今日の一言 Ver1.5 -